居宅介護事業・重度訪問介護事業とは?

居宅介護事業は、身体障害者、知的障害者、障害児、精神障害者に対して入浴、排せつ食事等の身体介護や調理、洗濯及び掃除等の家事援助を行います。

居宅介護事業のサービス提供の分類として、身体介護、家事援助や通院等乗降介助があります。

ただし、通院等乗降介助のサービス提供のみ、後述のとおり、運送業の許可が必要となります。

重度訪問介護は、重度の肢体不自由者の方に対する居宅での入浴、排せつ、食事の介護のほか外出の際の移動中の介護など総合的な介護を行います。

※重度訪問介護の制度は、平成18年10月に新たに創設されました。

居宅介護と重度訪問介護の指定を受け開業するには

障害者総合支援法の居宅介護事業のサービス事業者指定を受けるためには、法人格、人員、設備基準などの基準(要件)をクリアした上で都道府県に申請しなければなりません。

居宅介護事業のサービス事業者指定を受けるためには、以下の基準(要件)があります。

<居宅介護事業(ホームヘルプ)の指定要件>

1.法人格があること。

(1)法人格がない場合

法人には、株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人などの法人があり、これらの法人でない場合は、法人の設立が必要です。

また、法人の定款に記載する「事業の目的」の文言については、当該事業を行う旨の記載をするよう、特に注意してください。

株式会社と合同会社、NPO法人の詳細については、当事務所のHPでも掲載していますので、こちらをご参照ください。

    ⇒ 株式会社設立手続サポート

    ⇒ NPO法人設立手続サポート

(2)法人格がある場合

既に法人があるという事業所であっても、新規に介護サービスを行う場合や異業種参入する場合において、定款の「事業目的」欄に、当該事業を行う旨の記載がない場合は、法務局において目的変更登記の手続きが必要になります。

2.人員要件

 常勤の管理者、有資格者のサービス提供責任者や居宅介護員の配置など、以下の基準を満たすよう配置する必要があります。

(1)管理者:常勤の管理者1人以上。

 ※資格要件は、特にありません。

 ※サービス提供者責任者との兼務は可能。

(2)従業者

ア.居宅介護員の資格要件

 介護福祉士、居宅介護従業者養成研修課程等の修了者を常勤換算で2.5以上確保できていること

 ※常勤換算方法=従業者の勤務延べ時間数÷常勤の従業者が勤務すべき時間数

イ.サービス提供者責任者

 居宅介護員の中から居宅介護の職務に携わる以下のいずれかの資格を有する常勤の者が1人以上が必要

<資格要件> 

①介護福祉士、②実務者研修、③訪問介護員1級、④居宅介護従業者養成研修1級、⑤看護師及び准看護師、⑥介護職員基礎研修

他に、以下の資格もありますが、配置によるデメリットが大きいです。3年以上の実務経験を要することや、介護保険の場合は、30%の減算、障害の場合は10%の減算があります。ただし、重度訪問介護の場合は、⑦と⑧の資格は除きます。

⑦居宅介護初任者研修、⑧介護職員初任者研修、⑨訪問介護員1級、⑩居宅介護従業者養成研修1級、⑪訪問介護員2級、⑫居宅介護従業者養成研修2級

3.設備要件

居宅介護事業を行うための事務所等の設備として、以下の基準を満たす必要があります。

(1)事務室:職員、設備備品を収容、利用申込みの受付に対応するのに適切な広さ。

※事務室の広さの基準はありませんが、常識的に考えて、机、書庫などの備品を搬入でき、作業できるだけの広さがあればOKです。

(2)相談室:個室。ただし個室を確保できない場合は、遮へい物設置など相談者のプライバシーに配慮されていること。

※相談室も、相談できるテーブルやいす又はソファを設置できる広さがあればよい。    

(3)衛生設備:感染症予防のための手指洗浄設備(例:洗面所など)、備品。

<重度訪問介護の指定を受ける場合>

重度訪問介護は、居宅介護事業を申請する場合、「みなし指定」となります。

分かりやすく言いますと、居宅介護の指定要件を満たしていれば、重度訪問介護の人員、設備を満たしていることがみなされるということです。

もっとも居宅介護と一緒に重度訪問介護の指定を取るには、居宅介護と共通する添付書類は提出書類は一部でよいが、重度訪問介護の記載を要する書類もありますので、注意が必要です。

通院等のための乗車又は降車の介助を行うには

居宅介護事業のサービス提供の分類として、身体介護、家事援助や通院等乗降介助の3種類があります。

※居宅介護と類似の介護保険法に基づく訪問介護も同様です。

しかし、通院等乗降介助は、指定申請時において、道路運送法の介護タクシー等の許可を受けていることが前提条件のため、許可を受けていない場合は、通院等乗降介助は行えませんので、身体介護と家事援助の2分類の指定となります。

通院等乗降介助を行いたい場合は、どうすればよいのでしょうか。その前に、通院等乗降介助とはそもそもどのようなものなのでしょうか。

通院等乗降介助とは、通院等のために、ヘルパー等が自らの運転する車両への乗車又は降車の介助と併せて行う、乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助又は通院先での受診等の手続、移動等の介助をいいます。

移送行為の前後、すなわち乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助又は通院先での受診等の手続、移動等の介助は、介護保険法に当たりますので、介護報酬を請求することができます。

しかし、ヘルパー等が、利用者を自家用車に乗せて、病院等への移送を行いますので、その移送行為に対しては、道路運送法に基づく運送業の許可が必要ですので、通院等乗降介助の届出を行うには、運送業の許可を受けていることの証明が必要となるのです。なお、移送行為に対しては、運賃が発生しますので、実費として請求することになります。

したがって、通院等乗降介助を行うには、予め運送業、具体的には、介護タクシー(4条)特定旅客自動車運送事業または福祉有償運送(79条)のいずれかの運送業の許可を地方運輸局又は陸運部で申請を行い、許可又は登録を受ける必要があります。

上記許可や登録を取得した上で、その許可書や登録書の証明書類をもって、行政に通院等のための乗車又は降車の介助を行うための算定届が必要となります。

このように、届出を行うことにより、身体介護や家事援助のほか、通院等乗降介助のサービス提供を行うことができます。

介護タクシー等の許可取得の詳細については、以下をご参照ください。

 ⇒介護タクシー事業の立ち上げ・独立開業

田村行政書士事務所のご案内

ページの先頭へ